TIRE TEST / 2003–2005
「速いタイヤ」が、速くなかった
グリップ感でも、評判でも、A048が上だった。それでもSUGOのタイムはミシュランが勝った。その差をどう説明するか。
タイヤを替えて、同じコースを走る。それだけの話が、記録に残すと厄介になる。体感と時計が一致しないからだ。
体感の順位
コントロール性とグリップ感で並べると、順位ははっきりしていた。
- ヨコハマ ADVAN A048 MH — いちばん分かりやすい。グリップの限界が手に伝わる
- ピレリ P-ZERO CORSA — 挙動が読める。ラジアル的に走れて、一言でいえばドリフトしやすい
- ミシュラン パイロットスポーツカップ — グリップ感が希薄。オンザレールで、掴みどころがない
この順に速いはずだった。
時計の順位
SUGOで残っているベストを、舗装の世代ごとに並べる。
| 時期 | タイヤ | 路面 | 気温 | ベスト |
|---|---|---|---|---|
| 2003-07 | P-ZERO CORSA | 旧舗装 | — | 1:40.840 |
| 2003-10 | P-ZERO CORSA | 旧舗装 | — | 1:42.114 |
| 2003-11 | PSカップ | 旧舗装 | — | 1:40.609 |
| 2004-11 | PSカップ | 旧舗装 | — | 1:40.458 |
| 2005-04 | PSカップ | 新舗装 | — | 1:38.225 |
| 2005-08-10 | PSカップ | ドライ | 20–22℃ | 1:36.997 |
| 2005-10-19 | A048 MH | ドライ | 15℃前後 | 1:38.531 |
A048を入れたのは10月。気温は15℃前後で、8月より条件はいい。それでも 約1.5秒遅い。車両側の改造は変えていない。
立てた仮説
タイヤショップの話では、SUGOと富士は日本でも路面μがとりわけ高い部類に入る。タイヤの減りが激しいのはそのためで、実際A048 MHは10時間枠のうち実走5時間ほどで使い切った。
一方、欧州のコース——ミザノやポールリカール——は低μでフラットというのが走った実感だった。
高μのコース(もてぎ・富士・SUGO・鈴鹿)ではミシュランが速く、低μのコースではA048が速いのではないか。
これは仮説であって、検証されていない。同じ日に同じ気温で2組のホイールを履き替えて比べる、という試験を一人ではできなかった。
反証も出ている
コンパウンドをMHではなくMにすれば結果は変わる可能性が高い、という指摘を受けている。もっともなのだが、Mの耐久性が分からない。A048 MHで5時間なら、Mはもっと短いだろう。経済合理性との天秤になり、そのまま宿題として残っている。
もう一つ、記録と記憶が合わなかった話
P-ZERO CORSAからパイロットスポーツカップに替えたとき、体感では「大幅に速くなった」と記憶していた。ログを見ると 1:40.840 → 1:40.458。0.4秒である。ほとんど差がない。
速くなった気がしたのは、たぶんタイムではなく走り方のほうだ。旧舗装のPSカップは一度オーバーが出ると手に負えず、スピンを多発させた。新舗装になってから、意図的なオーバーもコントロールできるようになった。
使ったタイヤ
| タイヤ | 種別 | 主なサイズ | 実走の所感 |
|---|---|---|---|
| ミシュラン パイロットスポーツカップ | S | 205/50/17 | グリップ感は希薄だがオンザレール。とにかく減らない |
| ヨコハマ ADVAN A048 MH | S | F225/45/17 R255/40/17 | コントロール性は最良。横剛性が高く、たわまない分だけ曲がりにくい |
| ピレリ P-ZERO CORSA | S | 205/50/17 | 挙動が分かりやすい。摩耗は早い |
| ミシュラン パイロットスポーツ | ラジアル | 205/50/17 | 真冬は全くグリップせず、真夏でちょうどいい |
2000年代前半、205/50/17というサイズのSタイヤは選択肢がほとんどなく、経済的な理由でラジアルを履かざるを得ない時期もあった。
出典: 走行ログ No.16 / 23 / 24 / 26 / 29 / 34 / 38 / 41 / 46 / 56 + 2006年当時のブログ記事